俺たちが、生まれる前でした。
つまり三千年よりもっと前です。
ある冬の夜の空に、二人の姉弟がいました。
「しにたい、しにたいよ、ねえさん」
と、弟星が言うと、
「いきたい、いきたいの、ポルックス」
と、姉星は答えました。
けれど弟星は不死身で、姉星はそうではありませんでした。
お互いの運命を羨み、そして自分の立場を嘆いた二人は、
ある春の朝の野に、降り注いで逝きました。
そうして、姉星だけが身体を持って生まれてきました。
弟星は、姉星の中に眠っています。
姉星は天吏、弟星は抹吏と言いました。
「死にたい、死にたいよ、抹吏」
と、天吏が言うと、
「生きたい、生きたいの、姉さん」
と、抹吏は答えます。
物語は繰り返すでしょうか。
それは誰にも分かりません。
ただ一つ、言えることは、
お話は今もまだ、続いていると言うことです。
さぁ、もうお休みなさい。
良い夢が見れますように、星に祈って………
おしまい。
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